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「つ、疲れたー」
「卯月さん……タフだよね」
あの後も、学区内をうろつき、様々なトラブルを解決して歩いたボク達
「さて、ありがとうございます二人共。今日は助かりましたわ!また宜しく頼みます」
ボク達がバテているのに気付いたのかどうか、先輩は本日はここまでと宣言し、解散する事になった
あの先輩の事だから、まだ一人でやってるんだろうなぁ
「ねぇひかるちゃん。私、役に立てたかな?」
「十分以上にやってたと思うよ」
だから、不良に突っかかるような真似はもう止めてね。心臓に悪いから
「あぅ。わ、私も頑張らなきゃなーって思ったらね……ごめんなさい」
台詞の後半は謝罪になっていた。反省してるなら許してあげよう
「じゃあ、どっか寄って一休みしてから帰ろう」
「もう、ひかるちゃんお昼寝したいだけでしょう?」
さすが愛流ちゃん分かってるぅ
ボク達は笑いながら近くの公園にでも行く事にする。うん。やっぱりコレだね、この穏やかな時間がボクの望んでた時間。トラブルなんて自分から向かう物じゃないよ、まったく
★ ★ ★
「うーん…」
公園に着いたボクは入り口で立ち止まり、少し考える
「?どうかしたの」
ひかるちゃんが聞いてくる。先ずは、ボクだけでどうにかしようかな
「愛流ちゃん。ボクが場所を確保するから、クレープお願いしていい?」
この公園は週に何回かクレープの訪問販売が来る。今日はドンピシャらしい
「わぁ!今日来てるんだ。分かった行ってくるね」
「ボク、いちごのクレープよろしくぅ」
「はいはい。待っててね」
愛流ちゃんを見送って茂みの奥に足を向けると、野太い声が聞こえてきた
「ほれ、喧嘩なんかせんでええ。こっちにもあるけぇのぉ」
さらに進むと、昼間の番長さん――〝豪拳番長〟が子猫にクレープを分けていた
さすが番長さん!人知れず、子猫の餌やりなんて、分かってるぅ!微笑ましさに少しキュンとしてしまった
「はああああああ……」
その番長さんは深~い溜め息をついて、どんよりした空気を纏ってる。
声、掛けづらいなぁ
「……番長さん」
「いや、違うぞ!エサァやってたんじゃありゃせん!落としたクレープを捨てるのが勿体無かっただけじゃあ!子猫なんて嫌いなんじゃああ!!」
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