プロローグ

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 『“想像”できるものは必ず“創造”する事ができる』  昔の人は言いました。でもその人は、世の中がこんな風になることを想像していたのだろうか  こーんな、『能力』が飛び交う世の中なんて  今の世界には、ほんとに色々な『能力』を持つ『能力者』が存在してる  火の玉をぶん投げる人  空を飛ぶ人  遠くを見通す人  危険な物事を色や音で分かる人 etc.etc.  まさに〝超〟能力。最早、魔法とかオカルトの域だとか言われてたらしい。ボク達からしたら身近な力なんだけどね  昔の人が頑張って、『能力者』が普通に暮らせるように地位の確立、保護、育成機関の設立などをしてくれたみたいで、ボク達はこうして元気です。ありがとう  「…なんてね」  そんな取り留め無い事を考えながらぼーっとするのが、ボク  【四月一日 ひかる(ワタヌキ ヒカル)】 の最近のお気に入り  ボクが居るのは男女そして『能力者』共学の学校、  《国立 七咲学園》 小~大学まで同じ敷地内にあって、学園面積何百㌶、生徒数何千人、日本でも指折りの学校らしい  『能力者』の育成も兼ね、【清く、正しく、大らかに】を校風に掲げてる。色んなトコがゆる~く私服でもOKってトコも気に入ってる  その広い学園の数少ない人気がない所。ポカポカ陽気が昼寝に最適、立ち入り禁止の屋上という名の、まいすりーぴースポット…なのだが  「目、覚めちゃった」  平時ならそんな事は絶対にない。昼寝という至高な贅沢を中断なんて、勿体無いにもほどがある!  「あーっ!ひかるちゃん!居た」  「うん?」  ボクの思考を妨げたのは、幼なじみの女の子 【神無月 愛流(カンナヅキ アイル)】  ポニーテールが可愛い。何時もハナマル元気、信条は〝だめもと!〟らしい。チャレンジャーだね  「やあ、愛流ちゃん。おはよぅ」  「あ、おはよ~。いい天気だね…じゃなくて!」  元気よくツッコミを入れてくれる。彼女が?いや、愛流ちゃんがボクの“危険”になるなど有り得ない  “今、頭の中で鳴り続けてる警報” は、もっと別のモノだね。これは  「――って!聞いてる?授業始まっちゃうよ!」  「…愛流ちゃん」  真面目な顔で見つめるとキョトンとする  「…何?」  「こっち」  屋上の更に上、給水タンクのある場所に呼び寄せると素直に登ってくる  「もしかして“危険”なの?ひかるちゃん」
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