プロローグ

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 愛流ちゃんの手を引いて、タンクの影に身を潜めたその時――  「だれか居るのか!」  屋上のドアが開き、見回りにきたらしい先生が声を張り上げる  「せ、先生だ…」  「大丈夫。じっとしてて」  ひそひそと、声を交わす  「……まったく、何でカギが開いとるんだ?」  そこのカギは壊れてて、ちょっとした方法で開くようになってるんだよね。  ボクしか知らないけど  ガチャンとカギを閉めて先生は去って行った。同時にアラート音も消えていく  「危なかったね。見つかってたら怒られてたよ」  先生が探索系の『能力者』だったら危なかった  そうそう、コレがボクの『能力』  〝難事警告(トラブルアラート)〟  ボクに迫る危険、厄介事を色や音で教えてくれる。まぁ、逃げる為だけの能力だね  「ってどうするの!?カギ閉められちゃったよ!」  解錠が出来る事が知らない愛流ちゃんが慌てる。そこに追い打ちをかけるようにチャイムが鳴る  「あ……」  ちょっとした絶望の表情になってしまった。でもこれはチャンスっ!  「これは困った事になったねぇ」  「ど、どうしよう……」  「そうだね。取り敢えず」  「取り敢えず?」  ニッコリと微笑んで言う  「お昼寝でもしようか」  いざ、至高の時間へ
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