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「なん…じゃと…」
舞い上がった砂埃が晴れた後は、激突したままの状態で固まっていた
力が拮抗してたって事かな。それが番長さんは信じられなかったみたい
余程、自分の『能力』に自信があったらしい
「あら、終わりですの?力比べがお望みではなかったのかしら?豪拳番長」
彼女がぐぐっと力を込めると、番長さんはふらりと体制を崩した
「せいやぁっ!!!」
気合いと共に番長さんのお腹に一撃をくわえる
ああ、凄い飛んだなぁ……
ざっと見て十メートルは吹っ飛ばされる番長さん。人が飛んだ(飛ばされた?)所を観るのは、実はそんなに珍しくない。どっかの正義の味方のおかげでね
「これに懲りたら、皆さんの授業を邪魔するような行為は控えなさい」
番長さんは動かない。恐らく、ダメージよりはショックで
「……」
「良い拳でしたわ。また仕合ましょう」
最後にニコリと笑って番長さんに背を向ける。授業妨害以外で、番長さんの事は怒ってないみたい。『能力』まで使われたのに、流石お人好し
ふと、ぼーっと観ているボクとあの人の視線が交差する
思わず見惚れてしまいそうな優しげな微笑みを、ボクは気付かないふりで教室に視線を戻す
美しい金色の髪を靡かせ、真っ直ぐな蒼い瞳には強い意志を備え
力自慢の男、いや〝漢〟相手に引けを取らず、テストでは常にトップ5には入る程の頭脳を持ち、仕草は気品があってすごく綺麗で
家は大企業の社長さん。つまり、お金持ちの本物のお嬢様。でもそんなのを鼻にかけず、人望があって、何より
困ってる人などを見て放って置けない優しい心を持ってる
そんなチートみたいな人間。自他共に認める、正に〝正義の味方〟
それが、あの人
『生徒会〝執行部〟』部長【伊集院 卯月(いじゅういん うづき)】
我が校の誰もが知り、誰もが憧れる。愛すべき先輩。ただ、ボクはそんな先輩がちょっと苦手だったりするんだけどね
意識を完全に教室に戻すと、既に何でもないように授業を再開している
さて、いいものも観れたし
……寝るとしますか
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