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季節は夏――――今回、三度目となる転校をする少女は、
佐原南美
<サハラ ナミ>
今年十四歳を迎えたばかりの中学生である。
まだ教科書を入れていない平たい鞄を持ち、門を越えようとすると、後ろから母親が最後に声をかけた。
「――――気をつけて」
何かを予期させる、重たい声に南美は吹き出す。
あの過保護学校で、気をつけるも何もないと思ったからだ。
それというのも、今回南美が転校する学校では、入学前から全生徒の学校までの道筋を把握しているのは勿論、
発信機付きの腕輪を付けるのを義務づけており、
卒業するまで外す事が出来ないようになっている。
つまり、学校外でも
全校生徒の居場所を特定、
さらには監視する事も出来るという訳だ。
この待遇から、全国の過保護な親から絶大な支持を得ているが、
何故か
推薦でしか生徒を入学させない
事で有名である。
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