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 某定期券のように、改札を模した機械がある出入り口で腕輪をかざし、ピッという音を鳴らしてから校舎に入った。  南美と透はクラスが違うので、げた箱の棚一つ挟んだ、それぞれのげた箱に靴を入れ、上履きに履き替えてからエレベーターに乗り、担任に会うため職員室のある三階で降りる。  その後、教室での自己紹介も終え、席に着いた南美は周りの様子に違和感を覚えた。   このクラスの空気は異質だと。  HRが終わったというのに、誰一人として他の生徒と話そうとしない。 普通、転校生が来た時は皆騒がしく、すぐ質問攻めにあい、和気あいあいとした空気が流れるはずなのだが  皆、遠目に南美を観察し、 敵意、 あるいは品定めをするような 鋭い目を向ける。 慣れないからではない居心地の悪さを感じざる得ない。  さらに言えば、担任だけでなく他の教師もそわそわし、威厳も落ち着きもない。  そのため、南美が言い知れない不安を抱き、落ち着けずにいると、それを煽るように 一人の女子生徒だけが南美に近づき、こんな事を訊ねた。  「あなたは何を犯したの?」  
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