13人が本棚に入れています
本棚に追加
某定期券のように、改札を模した機械がある出入り口で腕輪をかざし、ピッという音を鳴らしてから校舎に入った。
南美と透はクラスが違うので、げた箱の棚一つ挟んだ、それぞれのげた箱に靴を入れ、上履きに履き替えてからエレベーターに乗り、担任に会うため職員室のある三階で降りる。
その後、教室での自己紹介も終え、席に着いた南美は周りの様子に違和感を覚えた。
このクラスの空気は異質だと。
HRが終わったというのに、誰一人として他の生徒と話そうとしない。
普通、転校生が来た時は皆騒がしく、すぐ質問攻めにあい、和気あいあいとした空気が流れるはずなのだが
皆、遠目に南美を観察し、
敵意、
あるいは品定めをするような
鋭い目を向ける。
慣れないからではない居心地の悪さを感じざる得ない。
さらに言えば、担任だけでなく他の教師もそわそわし、威厳も落ち着きもない。
そのため、南美が言い知れない不安を抱き、落ち着けずにいると、それを煽るように
一人の女子生徒だけが南美に近づき、こんな事を訊ねた。
「あなたは何を犯したの?」
最初のコメントを投稿しよう!