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話し掛けてきた女子生徒は、うっすら笑みを浮かべて南美の答えを待っている。
どこからどう見ても普通の女子中学生の発言とは思えない上に、質問の意図も全く分からなかった南美は、言いよどんでいた。
その南美の態度を女子生徒の方も不思議に思ったようで、
ふと南美の腕輪に彫られた校章を見やる。
「赤……?」
そう、小さく呟いた。
それを聞いた南美は、その女子生徒の腕輪の校章を見る。
青――……
その女子生徒の校章の色は
青だった。
男女別でなく、一人一人色が違うのかなと南美はぼんやり思ったが、その女子生徒の目は大きく見開かれ、すぐに南美を珍しいものを見るように眺めた。
「あなた何もしてないんだぁ。
変な事聞いてごめんね」
こう言うと自分の席に戻ろうとする。
しかし、南美は混乱して、慌ててその女子生徒の服を掴み、呼び止めた。
その女子生徒の言葉はまるで
『この学校の生徒は皆
何かを犯している』
とでも言っているような気がして――……
すると、掴んだ手を勢い良く振り払われた。
「触らないでくれる?」
その態度は絶対の拒絶を感じさせ、表情には怒りが滲んでいる。
戸惑う南美を見つめ、冷ややかに微笑して
美術室に行けば、と言った。
「あなたのお仲間がいるから」
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