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少年は一瞬無表情になり、何に対しての‘どうして’なのか計りかねている様子。
「この学校ではね、
転校生は信じられない程
注目されるんだ」
やっと答えた少年は、ゆっくりと片方の手首の袖口だけボタンを外す。
「だから嫌でも
様々な情報が入ってくる。
――例えば
君の校章は赤い、とかね」
そうして、露わになった少年の手首には鎖のアクセサリーと校章の入った腕輪があり、校章は――――赤かった。
南美がそれを見るのを確認してから、少年は再びボタンをしつつ、話を続ける。
「驚いたよね?
突然、‘君は何を犯した’
なんて聞かれて」
ボタンを直し終わると、軽く両手を広げた。
「この学校はさ、一般でいう
“社会のゴミ捨て場”
なんだ」
「……ゴミが収容される場所
の方が、聞こえが良いかな」
社会のゴミという言葉自体、非人道的で聞こえが悪いが、一番分かりやすいから例えに使ったようだ。
少年が言うには、この学校は暴力事件や脅迫、ハッキングなど様々な法を犯し、それを幾度となく繰り返してきた人間を集め、過保護と称して年中監視する、言わば収容所なのだという。
南美は少年の言っている意味は分かっても、納得がいかず、首を振る。
「私は、法も何も犯してない」
少年はクスクス笑いながら机に寄りかかり、分かってると呟いた。
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