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 どうして何もしていない自分が、社会のゴミ捨て場だというこの学校に収容されたのか、理由が早く知りたくて、再び落ち着きがなくなる南美。 少年は焦らすように語る。 「校章が赤いのは  何もしていない証拠だから」  そこで南美はハッとして、朝の女子生徒の反応を思い出す。校章が赤いと気付くと、途端に態度が変わった事を。 そういう事かと少し納得し、この少年が言っている事が、少なくともこの学校の生徒にとっての真実である事は、間違いないと思った。 「この学校には数人、  そんな人も収容されてる」 「で……ここからは  僕の考えなんだけど」 「赤い校章の人間は   別の理由でこの学校に   集められたんじゃないか        って思うんだ」  先程までの笑みが消え、真剣な眼差しに変わり、南美に 訊ねたい事がある、と告げた。
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