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†
「来たか…」
果てしなく続く荒野…
そこに佇む一人の少年が呟いた。
そして彼の目の前に砂塵を巻き上げて翼を豪勢にはためかせ、地上に降りてきたもの…。
それは、真紅に光る鎧にも似た鱗で全身を覆われており、凶悪な牙と爪で幾千もの獲物を狩ってきたであろう空の覇者…ドラゴンだった。
そして獲物を見つけたドラゴンは鷹のように鋭い目で少年、リーアを睨み付ける。
「おいおい、空飛ぶ蜥蜴ごときがいきがるなよ」
普通の人間ならば逃げ出してしまいそうなこの状況で、リーアは笑っていた。
「さて…いっちょやりますか」
ドラゴンという自分より何倍も大きな敵と戦うにも関わらず、この落ち着きよう。
その様子からは、幾重にも苦境を乗り越えてきたであろうことが伺えた。
そしてリーアは腰に携えていた聖剣と呼ぶに相応しい相貌をした一振りの剣を構える。
しばらくは睨み合いが続くものの、まずは牽制変わりにとドラゴンが豪炎を凝縮して放つ。
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