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―――――― 「本城、次の問題」 「……」 …あ、聞いてなかった。 不意討ちで当てられて、俺は急いで思考をフル回転させた。 だが、…わけわからん… 今の授業は数学、先程新しい公式の説明をしていたんだろう。 それを聞いていなかった俺にはさっぱりで、ノートも真っ白、その上教科書も開けていないという… 「さっき説明しただろう」 早く言えと言わんばかりにまくし立てる。 あー… 仕方ないな… 俺はわからんもんはわからん。 正直に言おうと決心、だが怒られるのは面倒だと思い… 「その公式、佐野君が簡単だって言ってましたよ?」 「は!?」 にっこりと満面の笑顔に、軽く首を傾げて、その後に上目遣いで見てやった。 漫画だったら絶対にふわり、と顔の横につけられるくらいの可愛さに、教師も目を丸くする。 満月の驚く声が聞こえたが、そんなの無視だ。    
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