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「ふー……」
「ほい、それ十回目の溜息」
「何数えてんだよ」
休み時間、前の授業の教材を机の上に広げたまま、紗弥は友人曰く十回目の溜息をついた。
「今日何人別れさせてきたの?」
「…覚えてない、どうでもいいだろ?満月」
「気になるだろ、普通。この高校きて初めてできた友達が、まさかの嫉妬野郎だったなんて…」
他人事のように話を聞き、けらけらと笑っているのは
佐野満月(さのみつき)一年
本城紗弥の高校生活で初めてできた友人だ。
紗弥の行動の変化にいち早く気付き、そして自分もその対象に見られていた人物。
「言っておくけど、もうお前には興味ない。つーか初めから興味なんて持ってない!」
「何だよつれねーなー、昨日俺が他の奴と話してる時、無理矢理引き剥がした奴は誰だったっけ?」
「俺だよ」
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