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当たり前だろ?という顔で友人を見つめる。
「腹立っただけ、別にお前が気になるとかそんなんじゃない」
「素直じゃないねー」
ふんと鼻を鳴らし、もう少しで休み時間が終わるだろう、教室が少しずつ静かになっていく。
紗弥も面倒臭そうに次の教科の教材を出している。
それを前の席から見る満月。
「…でもさー、そろそろ…その性格直す努力をしようよ」
「性格じゃなくて体質」
「じゃあ体質、お前美人じゃなかったらマジで大変なことになってるぞ?」
注意をしている友人を見ると、さっきまでのいい加減な雰囲気はなかった。
本当に心配している…、そんな感情が表情から読み取れる。
「…いつか何か変なことに巻き込まれる」
キーンコーンカーンコーン……
授業が始まる合図が、会話を途切らせる。
短い溜息をつくと、満月は前を向いた。
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