852人が本棚に入れています
本棚に追加
「……」
今、好きって言った…?
こいつ、今さりげなく俺のこと好きとか言わなかった?
余程紗弥の顔が間抜けていたのだろう、その顔をじっと見つめて、声を発する。
「紗弥くん」
「…な、に…?」
金髪青眼の真剣な表情が、俺の目に映る。
逸らしたい、そう思ってしまうけど…でも逸らしてはいけない気がして見つめてしまう。
息が、呼吸が、速くなった。
「俺、紗弥くんに酷いことしたってすごく反省してる…」
「……」
「君の体質を玩具みたいに遊びで利用してからかって…、嫌がっている君に無理矢理…」
「…っ」
今まで忘れたことはなかった。
思い出す度に、身体が震える。
今、こいつが俺の中でどんな存在であろうと、あの時のことは間違いなく俺の気持ちを沈ませる事態だったんだ。
そんな時のことを言われて、反省していると言われた…。
「…ごめん…」
「……」
すごく哀しそうで、孤独を拒絶して……
俺に拒絶されたくない気持ちが込められた、揺れる瞳。
俺は…それをどうする…?
最初のコメントを投稿しよう!