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こんなに、あいつのことを考えてる自分……
別に目の前で誰かとイチャついてるわけじゃない、てかあいつとは何でもないからあいつが誰かとどうなろうと関係ない。
関係ない、が……!!
「っ…腹立つ…」
そう考えただけで苛々が止まらない…腹の底から何かがせりあがってくるように熱くなる。
この感情を俺は知ってる。
でもこんな泣きそうになるくらい苦しくなかったはずだ…
もっと軽くてすぐに治まるものだったのに…何で……
「…あいつだから…」
わかってる、わかってるのに…
どう言えばいいかわかってる。
だけどこんなこと初めてで、考えるだけでこんなになるのに、言葉にするなんて……
勇気がない…。
「うじうじすんなよ…馬鹿みてぇじゃん…」
一人、いつの間にか屋上に向かって歩いていた。
でも、俺一人にしちゃ足音が多過ぎる。やっとそれに気付いて振り返った。
「本城」
「……」
少し考えて、同じクラスの奴だと思い出した。
確か名前は……
「どこ行くの?もうすぐ授業始まるよ」
「…別にどこでもいいだろ、サボる。お前は戻れよ」
緒方(おがた)…だっけ?
えっと、大分前にパンとカフェオレ買ってきてくれた奴…
そいつが何の用だ?
そんなことを思っていると、さらに近寄ってくる緒方。
「何?」
「本城、あの先輩と別れたんだ?」
…はぁ…?
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