852人が本棚に入れています
本棚に追加
「…!!?」
聞こえたその声に、疑いもせずに顔を上げた。
絶対に間違いないと思ったから…
久しぶりに会った金髪青眼は、前と変わらず目を惹かれさす容姿で、俺を見る目も綺麗な青色をしていた。
だけど、一つだけ違うのが…
「紗弥くん、可愛い恋人ができたんだね。」
「…え…」
俺に向ける、作った笑顔。
恋人…?、違う…緒方のことか?違う!…あいつは恋人なんかじゃない!
「何言って…違う…」
震える声で精一杯言ったつもりなのに…
「今まで迷惑掛けてごめんね?もう紗弥くんには近付かないから、安心して」
「っ…」
違う、違う…!!
それなのに声が出ない、言葉になってくれない。
嫌だよ、何だよこれ…
こんなこと望んでない…
それでも俺が何も言わないのを見て、金髪青眼は俺から離れようとする。
嫌だ…、あんたには離れてほしくないんだ…
あんたは……
「紗弥くん…」
俺は手を伸ばして、金髪青眼の制服の裾を掴んでいた。
行かないでよ……
行かないで……
最初のコメントを投稿しよう!