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黒いジャケットに、チェーンを飾ったジーパン。外出でもしていたのだろうか、お洒落な格好だ。
顔を見る限りじゃ、楽しいイベントでもあったのかもしれない。
「恭也……。なんでうちに?」
「何でも糞もねぇよ。調べてぇことがあんだ。どっかの気味悪ィ顎鬚がおもしれぇプレゼントを提供してくれてな」
やたらハイテンション。喧嘩の前か、最中みたいに獰猛な笑みを浮かべる恭也。
僕は立ち上がって蹴られた背中を撫でる。
「冗談だよ、使うわけないだろ。“アレ”は最初の二分しかコントロールが効かないしね」
「…………。その割には、随分と集中力を高めてたもんだな?」
意味深な言葉と真剣な眼差しに、僕の喉に言葉が詰まった。
「何を悩んでんだか知んねぇし興味もねぇが、《ナイトメア》戦で使ったら俺様がテメェを殺すぞ?」
「大きく出たな恭也。テメエに僕を止めれんのかよ?」
負けじと、僕も恭也を睨む。
「ハッ、いいね。調子戻ってきたじゃねぇか。丁度ここは武道場だ。喧嘩すんには最適じゃねぇか?」
スイッチが入る。否、入れる。恭也の我儘に付き合うために。
「そうじゃな。ここ最近、仲間とは言い切れないが一応同じチームとして戦ってきたわけであるし。
良かろう、相手をしてやる。お主の行き場のない罪悪感、儂に曝け出してみよ」
「クックック。勘違いしてんじゃねぇよ。いつまでも過去のこと引きずってるほど精神年齢低くねぇんだよ!!」
振りかざされる拳。それを真っ向から額で受け止めて筆を走らせる。
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