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モミアゲ以外を茶色に染めた目付きの悪い男の写真を見て、僕はとりあえず立ち上がる。
「もう遅いし泊っていくか?空き部屋は沢山あるしな」
「そォだな、今日はあの女の顔を見る気にもなれねぇ」
彼女にはデレデレだもんな。顔会わせたりなんかしたら慰められて泣きそうな……恭也が泣く姿なんて想像できない。
「あのアパートで二人で暮らしているのか?」
「んなわけねぇだろ。あいつにはあいつの家があんだよ。つーか、あの銭湯だけどな」
記憶に薄いが、恭也の同性愛疑惑が浮かんだ場所か。
「まぁ、ほぼ毎日俺様の家に勝手にあがって家事して、十時くらいに帰る。たまに泊ってく。週二くらいの割合でな」
「割合高いな。性行為はしたのか?」
ぶばっ! と恭也が珍妙な奇声を放つ。
「てめ、平然とんなこと聞いてんじゃねぇ。血祭りにあげんぞ!?」
かなり動揺して恭也が僕の胸倉をつかみ、壁に叩きつける。物凄い狼狽っぷりだ。こいつらしくもない。いや、彼女の話になると毎回最終的にこうなるけど。
「まぁ、お前達の関係については口出しできる立場じゃないけど程々にしとけ」
「なに上から目線でもの語ってんだ?消し炭にされてぇのか、クソ眼鏡?」
「どうやって人間を消しゴムに変えるんだ。馬鹿かお前は」
「馬鹿はテメェだ」
そんな感じの会話を続けながら、僕達は武道場から外に出て色々と騒いだ後に大人しく別々の部屋で就寝した。
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