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その少女は、子猫に向かってなにかを話しかけていた。おそらく、励ましの言葉とかそういう類であろう。
「さっさト落ちナサい」
「…………」
自殺命令だった。いや、死にはしないけど。
訛りのある、と言うかアクセントの違う、外国語と混ざったみたいな特徴的な口調で、彼女はさらに子猫を罵る。
「お前はそれデもニッポンコクミンか?名誉のたメに鬼畜アメリカに勝ちたいトハ思わないノか。このキザ野朗!!」
キザ野朗、だけやたら流暢で蔑みのある発音だった。しかも色々と時代を間違えている……。
「とりあエず、私がキャッチしてあげるカラ落ちておいで」
両手を広げて彼女は言う。それに何かを感じ取ったのか、子猫は小さく鳴いて枝先から飛び降りた。のだが、すぐ下の枝にひっかかって宙吊り状態。
「にゃー」
「にゃー、じゃナイ。お前はそレでもどうぶつか?少しはどうぶつらシい運動能力を見せテみろ」
なんと言うか、このまま通りすがるのもあれなので、僕は彼女の隣まで足を運ぶ。
「手伝おうか?」
僕の存在に今まで気付かなかったのか、彼女は肩をビクッ、と震わせてから跳びはねるの用に後退して僕を睨んだ。
なんか、猫っぽい動きだ。
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