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十一月下旬。街はもう一足早いクリスマスの装飾がされ、賑やかになっている今日この頃。
私は一人、ゆっくりと学校に向かって歩いていた。
やっぱり、時間があるっていいな~と改めて思う。いつもだったら遅刻するかしないかのギリギリだから、こんなにゆっくり登校するなんて久々だよ。
今度からもうちょっと早く起きようかな? なんて思うけど、多分無理なんだろうなと心のどこかで思ってしまう。
う~ん、自分では早く起きようと努力しているんだけどな~。やっぱり、ケロピーの抱き心地が良すぎるからダメなのかな……?
「名雪」
ふと横から聞き慣れた声がする。私は一度考えるのをやめて、声のする方へと向いた。
「おはよう、香里」
「うん、おはよう」
香里は私に挨拶をすると自分の腕時計を見て、そして驚いたような顔をする。
「あれ? この時計壊れちゃったのかな?」
そんな独り言が聞こえたので私は香里に聞いてみた。
「時計、壊れちゃったの?」
「だって、まだ八時過ぎなんですもん」
私も自分の腕時計で時間を確認してみる。時計は香里と同じ、八時をちょっと過ぎたあたりだった。
「香里、その時計壊れてないよ? ほら」
私の時計を見せ、壊れていないことを確認させる。だけど香里はまだ不思議そうな顔をしていた。
「おかしいな、じゃあ何で名雪がこんな時間に登校してるんだろう?」
「えっ?」
「いつもだったら名雪と会った瞬間、走らなきゃ! って思うんだけど……」
「……」
さすがにここで気付いた。香里にからかわれていることに。
「かおり~」
「今日は雪でも降るのかしら?」
「降らないよ~」
「あはは。もう、冗談よ」
香里はそう言った後、私に合わせてゆっくりと言い歩き出した。
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