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キーンコーンカーンコーン……―――――
下校を告げる学校のチャイム。
月音は一人、教室のなかにたたずんでいた。
夕焼けに染まり、開いている窓の外からの暖かい風で、教室の青いカーテンがゆらゆらと揺れる。
「……なにやってるんだろ。あたし。」
もう校舎内にはあまり人が残っていないはず。
月音は教室から出て、長い廊下を歩き始めた。
……もとは、ただ教室に置き忘れた数学のノートを取りに来ただけだった。
それなのに何故か、誰もいない教室で30分はぼーっとしていた。
さらに、やるべきことは終えたはずなのに、昇降口へは行かず、屋上へと歩いていた。
……階段をゆっくり登る
……踊り場に出て下を見る
……また一段一段登っていく
……かぎは閉まっていない
……ガラガラガラ
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