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「泣かないで。ごめんね。ほんとごめん。月音さんの気持ち痛いくらいわかるから・・・」
知らないうちに月音は泣いていた。
ポロポロ涙があふれて、痛いくらい悲しい胸の奥がきゅんとした。
・・・そして月音の身体をあたたかさが覆った。
水崎先生が月音を抱きしめていた。
自分よりはるかに背の高い男の人からの抱擁。
物心ついてからとはいえ、やっぱり緊張するもので、水崎先生の男の人の匂いが鼻をくすぐった。
「ほんとはね、こうやって抱きつくのもいけないんだと思うんだけどね・・・。今日だけ。特別。おまけ」
「・・・水崎せんせぇ・・・」
「言っとくけど、嫌いってわけじゃないから。また授業では普通にふるまおうね。・・・もう暗くなってきてるから帰りな?」
「・・・怖い」
「・・・送っていってあげようか?」
「・・・お願いしてもいいですか?」
「・・・わかりましたよ、お嬢サマ」
「・・・ありがとうございます・・・」
「・・・どういたしまして。」
先生との恋ってやっぱり禁忌なのかもしれない。
でも、誰かを好きになった代償っていうのはやっぱり大きいのかもしれない。
だからこそ、私は悲しいほどの胸の痛みを抱えながら誰かに恋をして生きていくのだろう。
私の好きな・・・へこの想いが届くように、
私はずっとずっと願い続けます・・・・・・―――――
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