記憶

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「アリス……昨夜アリスを誘拐しようとした不届き者がおったらしいではないか」 「……え?…………あ、はい。まぁ…」 多分黒兎さんのことだよね? 手紙の内容はそれだったのか。 「アリスを攫うなど……許せない。今すぐ捕まえて八つ裂きに…………」 とか呟きながら玉座の後ろに隠してある巨大斧を取りに行こうとする女王様って、待って待って!; 「女王様!落ち着いてください!未遂だったわけですし……」 「何かあってからじゃ遅いのじゃ!しかも異世界からの不法侵入者らしいではないか! 今すぐにでも切り刻み……」 「わあぁぁあっ!刻まないでくださいっ!!」 「じゃあ真っ二つに」 「駄目ですっ!!」 何故じゃ!?とか聞いてくる女王様。 いいよ♪とか言えるわけないでしょう!! 「女王陛下、落ち着いてください。とりあえず管理者は国の守りを強化させるよう申請してきているようですし……アリスのためにも彼の言う通りにするべきだと思います」 熱くなっていらっしゃる女王様とは反対に冷静に考えを述べる公爵さん。 …………大人だ!子どもだけど! 「………………」 めちゃめちゃ嫌そうです。 まぁ確かに国一番の権力者なのに下の人間の意志通りに動くのは気に入らないのかもしれない。 プライドが高そうな女王様には尚更だ。 「……あの、私のためって…?」 「……アリス、異世界からの侵入者なんて滅多に無い一大事だ。 君を他の世界へ連れていこうとしたのなら、この国の敵だ。 管理者は今、この国…この世界に異世界の者が簡単に入ってこれないよう、夢と国との繋がりを弱めているようだ。 だから我々は国内の守りを固める必要があるんだよ」 「…………はぁ…」 ……えーっと…異世界に行くには夢を渡る必要があるから、夢と国の繋がりを弱めてこの国に渡りにくくする……ってことかな? な、なんかすごい大事になってるし……。黒兎さんってそんなに危ない人なのかな? ……で、ルイスは夢が何とかってやつをやるから、その間に私達に手紙を届けさせたわけね。 …………改めて、ルイスって何者?;
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