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「失礼ねっ!危なくなんかないわよ!!」
「いや、キッチンの次に危ないだろう」
「平気よ!危なくなさすぎて逆に不安よ!」
いや、それはないと思いますよ。
「もうっ!だったら私達だけで行くからいいわよっ
アリス、猫くん!行くわよ!」
「うへっ?……あっ?」
ご機嫌ナナメな夫人は公爵さんから目を逸らし、私の腕を掴もうとした。
が、それよりも早く私は公爵さんに引っ張られる。
「ちょっと!何すんのよ!」
「アリスを危険な目に合わせるわけにはいかないだろう」
「……何よぉ~っ!!」
睨み合う2人。
……公爵さんが子どもの姿のせいで、反抗期の子どもとそれを叱る母親にしか見えませんが。
というか母親側の夫人の方が子どもっぽく見えますが。
「……アリスを放しなさいよっ!」
「駄目だ」
「……むーーっ!!」
膨れっ面で更に機嫌が悪くなる夫人。……本当に子どもに見える。
「……あの、私は平気なんで……その特別ルームっていうのも気になりますし…」
と言うと、パアァッと明るくなる夫人の表情。
逆に公爵さんの表情は引きつった。
「いや、しかし……」
「ほぉら見なさい!アリスも行きたいって言ってるじゃない!
ほら、さっさとアリスを放してっ!
行きましょっ!」
公爵さんに掴まれた方とは逆の腕を夫人に引っ張られる。
しかし公爵さんは放す様子が無い。
つまり、私、痛い。
「……あ、あの…どちらか、放して、いただけますか…?」
「あなたが放しなさいよ!」
「君が放しなさい」
どっちでもいいですから!
痛いですから!
「……………」
こちらを無言で眺めるチェシャ猫。
見てないで助けなさいよ!的な視線をチェシャ猫に送ってみる。
「……………」
あっ、逸らされた!
あの猫めぇー……っ痛い痛いっ!!
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