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「君の薬は何が起こるかわからないだろう?
アリスに何かあったらどうする気だ?」
「ちょっとくらい予想外な方が面白いでしょ!」
いやいや、全く面白くないです!
広い廊下で綱引きならぬアリス引きを繰り広げる2人。
さっきから使用人さん達が微笑みながら通り過ぎていくんですけど。
別に微笑ましくなんてないんですよ!
私、痛いんですけど!
助けてほしいんですけど!!
「……アリス、顔、酷い」
「ほっといて……いや、助けてくださいよ!」
チェシャ猫ニヤニヤしてんじゃないわよぉお!!
「ねぇアリス!貴女も行きたいわよねぇ!?」
「え、あ、いや、あの」
「ほら、行きたいって!」
言ってませんからあぁあっ!!
「……………」
「……あ、あの、公爵さん…?」
さっきまでさんざん夫人と言い争っていた公爵さん、何故か急に黙り込んで下を向いてしまったんですけど。
……ど、どうしたんだろう?
そんな公爵さんを見た夫人の目が光った!
「ふふふ、やっと観念したのね。
さぁ、今のうちに行くわよ!」
「えっ……あ!」
今がチャンスと言わんばかりに勢いよく引っ張られ、バランスを崩し夫人の方へ倒れそうになる。しかし、その前にすごい力で逆方向に引っ張られ体が仰け反る。
倒れそうになった所を引っ張った本人、公爵さんが支えてくれた。
……凄い力だった。
体は子どもなのに、どこにあんな力があるんだろう…?
突然の形勢逆転劇に夫人は一瞬呆然とし、少ししてから我に返った。
「……ちょ、いきなり…」
「いい加減にしないか」
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