第一章

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放課後になると、授業の疲れも吹っ飛ぶくらいに元気になれちゃう。 理由はただ1つ。てっちゃんに会えるから。 家に帰ればてっちゃんと触れあえる。 てっちゃんがあたしの疲れを癒して、あたしもてっちゃんの疲れを癒してあげるの。 てっちゃんが帰ってきたときに「おかえり」って言ってあげたいから、寄り道はしない。 今日も曽根君にカラオケに誘われたんだけど、きっぱり断った。てっちゃん以外の男の人と2人きりで遊ぶなんて絶対できないから。 曽根君は最近やたらとあたしに話しかけてくる。席が隣だから仕方ないんだけど、話の内容が何だか探られてるようで怖い。 『シャンプー何使ってるの?』 『昨日の夜なにしてた?』 『好きな人いないの?』 『拓貴(ひろき)って呼んでよ。』 こんなことばっかり。でもてっちゃんには言いたくない。心配かけたくないし。それにこのくらいあたし1人でなんとかできるだろうから。 .
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