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「わりーかよ」
「リリアは可愛いもんなぁ」
「ああそうだ。可愛い」
ビノと俺は、ようやく飲めるようになったお茶を美味しそうにすするリリアを見つめる。
「リリアも、もう8歳か」
呟く俺にビノは目をやる。
「……てことはお前は18か。…そうか、もう卒業するんだもんなぁ、お前も」
そう言ったビノは、おっと、と呟いてタバコを揉み消すと椅子から立ち上がりながら俺に言った。
「お前が今日俺んとこに来た目的を忘れるとこだったぜ。……診んだろ?」
その言葉に俺は頷く。
「しばらく会えなくなるから……」
「わかった。おい、リリア、お前ちょっと向こう行って遊んでこい」
ぶっきらぼうにビノが言うと、リリアは頬を膨らませる。
ふっ、子供の扱いに慣れてねぇな。
「えーっ!あたしもおにーちゃんとお話しするの!」
「後でまた話せるからな、リリア、ちょっと待っててくれよ」
俺がそう優しく言うと、リリアははーい、と言って奥の部屋に入っていった。
「ふーっ」
部屋を出ていくリリアを見送りながらビノが息をつく。
「やっぱお前にはかなわねぇな」
「兄なんで」
「さいで」
俺は満足げに笑うと、ビノに背を向けるように椅子に座り直し、上着を脱ぎ始めた。
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