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どこか遠くから声が聞こえてくる。
『ちょっ……どうしたの、この子………!!』
『拾った』
『拾ったって…!あなたも傷だらけじゃない』
『俺はほっときゃすぐ治る。それよりこいつらを治せ』
身体中が痛い。それに、物凄くだるかった。
腕に触れられて思わず焼けた喉から叫び声を絞り出した。
『あ……赤ちゃんがいるの』
『赤ん坊の方は副作用を起こしてる。早くしないとまずいぞ』
『……副作用』
少しの沈黙が訪れた。
『見ろ、これだ』
再び手が触れて、からからの喉は悲鳴をあげた。
『これ……!』
『理を犯した印だ。こいつらが何をしたか知らないが……』
ゆっくりと優しくどこかに寝かされた。声が、音が、どんどんと遠ざかる感覚。
死んでしまうのではないかと思った。
『絶対助ける…問答無用だ』
その声の後は何も聞こえなくなった。
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