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活気のあるごちゃごちゃとした商店街を抜けて少し奥へ入ると、汚ならしさが露になったスラムが出現した。
道端では骨と皮だけの犬が何かを探して地面を必死にほじくり、汚ならしい格好をした子供達が今晩をしのぐための食料を得ようとゴミ箱を漁っている。
それは、ソースでは絶対に見られない光景で、ここに来るといつも、身分の差を痛切に感じずにはいられない。
まだ10にも満たない幼い子供がごみ溜めを覗き込んでいるのから無理矢理目を離すと、俺は路地のさらに奥の方へ向かって歩き出した。
えーっと…ビノの店ここら辺だよな……
奥に進むにつれ汚くなる路地をずかずかと歩いていく俺が突然声をかけられたのは、その時だった。
「おい、てめぇ見ねぇ顔だな」
はっとして振り返ると、そこには俺と同じぐらいの少年が五人立っていた。
きっと、この辺りに住んでいるのだろう。服はぼろぼろの泥だらけで、顔は痩せて顔色が悪く目だけが異様にギラついている。
俺はゆっくりと目を細めた。
「いい身なりしてんじゃねぇか、ソースの坊っちゃんが。あ?」
初めの、リーダー格らしい少年がにやにやと言うと周りがクスクスと笑う。
「………」
俺は黙って彼らを見つめた。
「迷子でちゅか―??」
「坊やはさっさと帰って、おねんねしやがれ」
「良い金蔓じゃねーか」
ゲラゲラと笑いながら、少年達は騒ぎ立てる。
しかし、一向に俺が動じないのを見て、とうとうリーダー格が怒りを露にしながら俺に近づくと、手を伸ばして彼の髪を鷲掴んだ。
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