One Age

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「うっわ!……リリア!!」 リリアは、俺の腰辺りにしっかりと抱きつき、にっこりと満面の笑みを浮かべると言った。 「おにーちゃんおかえり!!」 ††† 「はぁあ?!試験終了と同時に学校を飛び出しただぁ??!」 あれから店の奥にあるビノとリリアの住まいに場所を移し、カヴァ地区のスラム街ではなかなかお目にかかれない高価なお茶を飲んでいた。 「あぁ。もう我慢できなかったからな。あの空気には」 と得意げに言う俺を、ビノはため息混じりに眺める。 その隣ではリリアが熱いと言いながらお茶をすする。 「何という協調性の無さ…」 ビノの言葉を総無視し、俺はここからでも見える店に目をやった。 「店、繁盛してるか」 「まぁまぁだな。まぁ、薬屋と来たら一定の収入はあるもんだ。……立地は御覧の通り最悪だけどな」 「おじちゃんねぇ、まだけんきゅうしてんだよ」 お茶をすするのを諦めたリリアが元気にそう言う。 「俺の研究への情熱は廃れちゃいねぇぜ。どんな場所だろうと……」 タバコに火を付けようとしていたビノは、俺が肩を震わしているに気づいたのかその手を止めた。 「おい。……何笑ってんだよ」 ビノが訝しげに言ったとき、俺は我慢出来ずにとうとう吹き出して大声で笑い始めた。 「ビ……ビノ、おじちゃんだって!!爆笑!」 「そこかよぉっ」 リリアが舌足らずな口調で突っ込むなかで、 「……ざけんじゃねえぞ!俺はまだ30だ!」 ビノが椅子から立ち上がって怒鳴り付ける。 「おじちゃん」 「てめぇが言うな」 俺はにやにやと笑ってやる。 「ふーん。リリアならいいんだな」 俺のその言葉に、ビノは一瞬勢いを失わせる。そのまま椅子にドカッと座り直すとタバコを大きく吸い込んで白い煙を吐き出した。  
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