2人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「待ってよ、晃一~!」
そういって僕の隣に息をきらしながら走ってきた彼女
「おはよ。遥。朝から走って登校か?元気だなぁ」
「晃一がおいていくからでしょ!」
「だって支度長いし。どうせ走ってくると思ってたし。」
ちらっと横目で見るとはぁっと大げさにため息ついてる遥がいた。
「女の子はみんな朝は忙しいのよ。髪もセットしないといけないし、いろいろ大変なの。ちょっとは女心わかりなさいよ。だいたいねぇそんなんだから晃一は…」
何やら隣で遥は一生懸命喋っているが、僕の耳には入らない。それより気になることがあるからだ。
「遥。制服のリボンついてないぞ。」
「はぁ?ここについて……ない!?・・・あ、そうだ鏡台の前においたままだった。どうしよ…先生に怒られちゃうよ。でも取りに帰ったら遅刻しちゃうし、うー晃一~どうしたらいい?」さっきまでとはうってかわり泣きそうな顔できいてくる。
「うーん。取りに帰ったら?あの先生風紀厳しいし。待っててあげるから。」授業中に教室入るのって緊張するし、僕も遅刻して一緒に入ったほうがまだいいだろう。言い訳もできるし。
「で、でも待っててもらったら晃一も遅刻しちゃうよ。やっぱり…」
「あ、僕も何か忘れ物した。何だったかな~?…ってことで一緒に戻るか。」遥が最後まで言わないうちにいった。
誰がどー聞いてもバレバレな嘘だった。
何かって何よ~!とかいってくるだろうと思ってたんだけど遥は
「 がと…」えっ?と聞き返そうと思ったら、隣には遥はいなかった。
先に行ったのかと思い来た道を振り返ってみると
「何してんの~!早く~!」
遠くで遥が手を振っていた。太陽も負けるくらいの眩しい笑顔で。
「おー!すぐ行くよー!」
遥が笑ってくれるなら僕は何でもしよう。
僕は遥が好きだから…
最初のコメントを投稿しよう!