第4章

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人類の夢であった過去へのタイムトラベル技術が完成するのは、今からずっと未来の事になるらしい。 だが、その技術には大きな制限があった。 それは非生物しか時の壁を超えられないという点だ。   未来人達はその制限を打ち破る為、実に画期的な方法を考え出す。 意識の情報化である。   人間の意識、俗的な言い方をすれば魂を取り出し、膨大な情報構造体に変換する。 そして、その意識情報を人型のオートマトンのメイン思考回路に移す。 こうして生み出されたのが、生物の知識と感情を有するが非生物の機械人間だった。   彼らはタイムトラベルの制限を超え、次々と過去の調査に旅立っていったらしい。   もちろん、私利私欲の為に歴史改竄を画策する者、宗教的な思考で人類抹殺を企む者等、いわゆる時間犯罪者の類も生まれた。 そして、それに対応する組織として『時間安定管理室』が作られた。   この辺りは埃を被った空想小説の流れと全く変わらない。   そう、一見平和な世界の陰で、時間犯罪者と時間安定管理室の凄惨な抗争が続いているのだ!  という事には、しかし、ならなかった。   過去への大規模な干渉は、何故か失敗に終わる。 世界には大きな理があり、結果的に決められた未来に到達するようになっているらしい。   それでもまだ非合法なタイムトラベルを行い、「旅の恥はかき捨て」と、過去の世界に迷惑を掛ける人間はなくならない。 時間安定管理室は様々な場所に捜査官を派遣。 非合法なタイムトラベラーを捕縛し、元の未来に連れ戻すのだ。 実は天見愛流も未来人。 時間安定管理室の新人捜査官である。 そして、曽根川ひかると上之宮玲菜は、ひょんな事から、不器用な彼女を手伝う現地の協力者という立場になってしまったのだ。  
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