第4章

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「やっぱり、ボクがいくよ。凶悪犯って訳じゃなさそうだし、案外話し合いでなんとかなりそうな気もするし」 「では、わたくしも」 「一人で大丈夫だから。玲菜ちゃんは愛流ちゃんを手伝ってあげて。もし追いかけられたらって考えると、準備が早く済む方が嬉しいし」 「むう、解りましたわ」 「あの、ひかるさん、くれぐれも無茶はしないでくださいね」 「ひかる、もしものことがあったら、わたくしは絶対許しませんわよ。いいですわね」 「うん、大丈夫だよ。じゃあ、準備よろしくね」 二人が校舎の中に消えて行くのを見送ると、無線機のイヤホンを耳に入れ、マイクを襟元に付けた。 これは愛流から預かっている未来製だ。 「よし、行こう」 足音を立てないよう、慎重に校舎裏に進む。 目標は運動部の部室棟。 身体を低くして、入り口からそっと中を覗き混む。 腰が砕けそうになった。 銅像はすぐ近く、ある部室の前でしゃがんでいた。 どこから取り出したのか、数本の針金を鍵穴に突っ込んでいる。 絶賛ピッキング中の模様。 静かに観察する。 まず、部室のドアについているプレートを確認。 キックベース部だった。 また随分とマイナーなクラブだ。 銅像は相変わらず爽やかな笑みを浮かべながら、針金を少しずつ動かしている。 かなり手馴れている様子だ。 「なんだかなぁ」 銅像が動くだけでも怪現象だが、それが部室にピッキングで侵入するなんて。 しかもその状況を冷静に受け止めている自分がいるなんて。 色んな意味で溜息が出る。 とりあえずどうするか。 と一瞬迷ったが、最もシンプルな方法を選択した。 つまり、 「ちょっと、そこの、えっと、お侍さん」 中に入り、声を掛ける。 銅像の肩が大きく跳ねた。 ゆっくりとひかるの方に顔を向ける。 目が合った。 状況に不似合い過ぎる爽やかな笑顔が非常に不気味だ。 しばしの間を置いて、銅像が立ち上がった。 斜め四十五度を見上げた姿勢でピタリと静止する。 校庭の隅にある時のいつものポーズだ。 「やりにくいなぁ」 ひかるが小さく愚痴る。 これで誤魔化しているつもりなんだろうか。 ぶっちゃけリアクションに困る。  
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