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途端に、あたり一面が木の葉の大雨に見舞われた。
投げつけられた塊がカナブンに当たって炸裂し、夥しい数の木の葉が飛び出したのだ。
カナブンにダメージはないようだが、
戸惑ったように空中をふらふらし出す。
木の葉は校舎前の広場を埋めつくす勢いで降り続ける。
その向こうに曽根川ひかるが見たのは、
(黒い…天使……?)
ではなくて、
それは風変わりな恰好の少女だった。
背に羽根飾りのついた黒っぽいミニワンピースを身にまとい、
栗色の髪の毛は……何故か頭頂部のひと束が触覚のように飛び出している。
「天見愛流!?」
触覚少女の姿を振り仰ぎ、叫んだのは上之宮玲菜だった。
玲菜を見つめ返すと、黒い天使はにっこり笑う……
「部長って呼んでほしいなっ」
木の葉を全身にかぶりながら、曽根川ひかるは見た。
天見愛流と呼ばれた少女が、
ぎょ、ぎょぎょぎょぎょ。
壊れかかったマウンテンバイクを駆っているのを。
(僕の愛車ーーー!!)
【覚書】
裏山探検部(略称ヤマ探)、現在の部員数
……一名。
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