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「吉野さん!!吉野さん!!」
『(沖田…たいちょ…)』
だんだん近づいてくる若い男の声
「吉野さん!!見つけましたよ!!」
『!?沖田隊長…』
ふっと上を見上げると必死に皐の事を探したのか息を上げて話す男、1番隊隊長沖田総司がいた。
「敵の大将は討ち取りました。早く屯所へ戻りますよ!!」
そんな必死な沖田の声を聞いて安心したように皐は両膝をつき前に倒れた。
「―!!吉野さんあなた腹を斬られて…!!」
皐の下にしゃがみ込むと仰向けにして自分の膝の上に頭をのせる
『沖田…隊長…来てくれて…ありがとうござ…います…』
「何を言ってるんですか!!何も喋るな!!今急いで医療者のもとへつれていきます!!」
沖田は急いで皐を抱き抱えようとするが、
『いいんです…』
「…!!?」
ガシッと着物を皐にひっぱられた
『私はもう長くありません。ですから…ここで最期を…』
「何を…言って…」
『沖田隊長、最後に貴方に会えて良かった…』
ふんわりと沖田を見上げ微笑む皐
『本物にありが…とう…』
「…吉野さん?吉野さん!!死ぬな!!これは隊長命令ですよ!!吉野さん!!」
そんな沖田の声は虚しく一人の隊士には届かなかった。
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