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ほとぼりもいくらか冷めたお昼休み。学食へ、私と愛流とひかるの三人で向かう。混み始めた学食の、空いていた席に荷物を置くと、
「ぼく、お金なんて持ってないです」
とひかるが言ってくる。
「まったく、カツアゲされてるわけじゃないんだから、そんな言い方しないで欲しいわ。じゃなくて、お金なら私が持ってるから、気にしなくていいわよ」
「あ、えっと……」
「あの家見て分からない? お小遣いには余裕があるからいいの!」
「あ、その、ありがとうございます」
「素直でよろしい」
私のお小遣いはそんなに他の人と変わらないと思うが、こういう言い方でもしないとひかるはお昼を食べないと言う選択肢をとることだろう。
「じゃあ、愛流席とっといてくれる?」
「ほいさー。あ、あたしB亭でー」
「分かったわ」
私とひかるで列に並ぶ。私たちの番が来ると、B亭、きつねうどん、カレーを頼む。因みに、きつねうどんが私で、カレーがひかるだ。
「どーもありがとー」
「いえ、どういたしまして」
ひかるがB亭の乗ったトレイを愛流の前に置く。私は、その正面にきつねうどんを置き、更にその右にカレーを置いた。
「じゃあ、いただきまーす」
三人とも席について、各々お昼を食べ始める。
「ひかるちゃんて、女の子だったんだねー。初めて会った時はどっちか分かんなかった」
「あ、えっと……はい」
――ああもう、愛流ってば、最初っから爆弾を投げつけるんだから!
私は小声でひかるに聞く。
「愛流に教える? 一応、こんなだけど信頼はできる子よ。もしかしたら、手伝ってくれるかもしれないし」
「あんまり魔法については教えたくないんですけど……でも玲菜ちゃんが信頼してるなら、あ、ここだと人が多いから、後でいいですか?」
「分かったわ」
「なあに? 二人してこそこそと」
「なんでもないわ。……いや何でもなくはないのだけれど、そのことで、愛流、学校が終わったら私の家に来られる?」
「うん!」
私の問いに即答すると、愛流は興味を別に移し、他愛のない雑談をし始めた。
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