転 ―強敵―

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 日付は変わり、火曜日の朝。 「なんで、愛流……ねえ、なんで?」 「い、いやぁ、そんなに言われてもなぁ……」  昨日の夜。私と愛流はひかるに魔法について教えてもらった。魔法が使えない人でも……媒介があればある程度は使える人もいるらしい。その媒介というのがひかるの持っていたあの杖であるらしく、ひかるはそれを使ってやってみるよう私と愛流に言った。私は、杖を持ち、 「水なり炎なり、何でもいいから、水晶から何か出てくると想像してみてください」  というひかるの言の通り、水晶から何かを放つイメージをしてみた。水、炎、電気、光、冷気、……どれも想像してみたが、何も起こらなかった。 「はあ、だめ、何も起こんないわ」 「最初はそんなものです」  その台詞に、あきらめて杖を愛流に渡した。 「はわわ、なんかすごいの出たー!」  渡して一分もせずに、愛流は杖の水晶部分の周りに青白い光の線を纏わせた。 「……すごいです! 属性は、電気ですね」 「愛流……杖、貸しなさいよ」 「はい。……何か起こってる?」 「べ、別にっ……!」  愛流が帰ったあと、私は杖を借りて必死にやってみたが、一晩たっても何も起きなかった。 「もともと、媒介があっても使えない人のほうが多いんです。寧ろ、玲菜ちゃんのほうが普通なんですよ」  そうは言われても、どんなに頑張ってもできないことを、いともたやすくやられてしまうと、悔しいものがある。朝のホームルームで先生が来るまでは、愛流をジト目で見ていた。  この時まで、本当に、この時までが、平和な時間だった。
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