結 ―決着―

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「なんで、お父さんがここに? それに、手に持ってる、それ……」  愛流は現状が飲み込めていないといった様子だ。 「お父さんって……あの人、愛流の……?」  だとすると、愛流はたった今、父親が犯罪を犯した姿を目の当たりにしたわけである。お父様を助けたいと思っても、痩せ身の男の持っているものが威圧的過ぎて、動き出せなかった。 「貴様を副所長にまで上げた私が馬鹿だったか」 「お黙りください、所長。さもないと娘の前で脳髄をぶちまけることになりますが?」  ――副所長……? どこかで聞いたような単語だ、とひかるの顔を見やると、昼間のことを思い出した。 『副所長がお怒りだ。だからお前を連れ帰りに――』  ――そうだ、あの昼間の炎を使う男が言っていたんだわ! 「愛流、お前には関係のないことだ、その少女をこっちに連れてきなさい」  未だに痩せ身の男……愛流の父親は、お父様に拳銃を向けていて、左手で手招きをするように、ひかるを連れるように愛流を言った。 「嫌だよ! だって、ひかるちゃんはあたしの友達だもの! 関係なくなんかない」 「そうか、ならばそのお友達がこの世からいなくなってしまっても構わないんだね……」  言うと、愛流の父親はひかるに銃口を向けた。 「この子は、……ひかるちゃんは自分の本当の姿に戻りたいって言っているの! それをお父さんが邪魔する権利なんかない!」  愛流が叫ぶと、父親は拳銃をおろし、下を向く。そして、さも面白いといった様子で、クツクツと笑い始める。 「愛流のお友達の君たちには面白いことを聞かせてやろう。まずは、所長の娘さん」  さっきからこの人は、お父様を所長と呼んでいる。……ということは……。未だに肩を押さえている、私のお父様も、ひかるの敵だというのだろうか。
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