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「それにほら、幻想郷の甘味が僕を待ってる!魔理沙は甘いもの好きかな?もし材料が揃ったらマカロンとかチーズケーキとか作ってあげるね。リクエス、トは…ある、かな…?」
目が熱い。
どうしよう、涙が…。
ちょっと寂しいだけなのに…。
「あ、あれ?…涙?ゴミ…かな?」
さっきより沢山溢れてる…。
「…時雨…」
どうしよう、魔理沙困ってる。
止めなきゃ…。でも涙ってどうやって止めるんだろ?
「………。」
「…えっ?」
いきなり魔理沙に抱きつかれた。
「あ、危ないよ?…前、見なきゃ…」
「…お前のほうが危ないぜ。泣きたい時に泣かないから今みたいに溢れるんだ。我慢はしなくていい、泣けはスッキリだぜ?」
そう言って魔理沙は頬を伝う涙を拭ってくれた。
「そうですよ?我慢はお肌の敵、ひいては健康の敵です。気持ちを爆発させることも大切です」
いきなり声が切り替わった。
箒と並行して飛行する黒い羽の生えた少女がおどけながら言う。
「初めまして、清く正しい射命丸 文です!」
「……。文屋、出るなら空気を読んで出てこい!」
「読みましたよ!そして敢えて出て来ました(`・Д・)ゝ」
ビシッと額に手を当て自信満々に言い放つ文さん。
そのまま僕の隣に来て微笑む。
「魔理沙さんやアリスさんならともかく、貴女のような可愛いお顔に涙は似合いませんよ?」
「……ぷっ。あはは!」
なんだかもうどうでもよくなっちゃったな。
会えないのは寂しいけど、今はこんな面白い人達が周りにいる。
もう帰れないかもしれないけど、楽しい思い出ってことで心のなかにしまっておこう。
「本当にここの人達って自由ですよね、泣く気失せちゃいましたよ」
「おぉ!お役に立てて良かったです。あ、私はこれから取材があるのでこれで…」
文さんは体を傾けて大きく旋回し去っていった。
「ん~まぁ、なんだ…。ここの奴らは困ってるやつを放っておけないんだ、我慢するくらいなら誰かに押しつけろ!」
「…うん。そうする」
「よし、それじゃあ気分転換に紅魔館で本を借りに行くとするか!」
魔理沙は前に向き直り、少し速度を上げて目的地へ向かった。
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