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それから僕は薬と軽い朝食をもらった。
「そういえば、自己紹介がまだね。私は八意 永琳、永琳でいいわ」
「僕は雨深夜 時雨です。僕も時雨でいいです」
「よろしく時雨、それじゃあ幻想郷のことやその他諸々はお風呂場でゆっくりお話するから行きましょうか」
立ち上がる永琳さん。
「あ、あの…」
「どうしたの?まさかお風呂嫌いとか言わないわよね?」
「いや、そうじゃなくて…。僕、男なんですよ?中身は」
動揺し過ぎて話し聞けないかも。
「大丈夫よ、気にしないから」
「僕が気にしますっ!」
…とは言ったものの、実際僕のことを知っている人は居なさそうだし大丈夫かも。
「やっぱり大丈夫かもです」
「そうそう、外来人である貴方はこれからの自分を出せばいいのよ」
優しい笑顔。お母さんのような、おばあちゃんのような…とにかく暖かい笑みだった。
僕は永琳さんに連れられ、脱衣所でバスタオルを巻いている状態。
「隠さなくても良いじゃない…」
永琳さんは桶と手拭いを持ち、全裸だった。
「時雨~鼻血出てるわよ?」
「…ハッ!?すみません!そんなつもりは…」
「大丈夫よ(笑)…ふふふ、面白いわね時雨って。他の人達とも仲良くできるわ、きっと…」
「そう、ですかね…」
僕らは談笑しながら風呂場に入った。
…デカイ
旅館の大浴場のようだ…。
僕はかけ湯を済ませて湯船にどっぷりと浸かる。
「いい気持ちねぇ、生き返るわぁ~」
「そうですね……!?」
隣から聞こえて来たのは永琳さんのものではなかった。
「紫…たまには断りを入れなさい…」
ため息混じりに永琳さんが紫と呼ばれたひとの向かいに寄る。
「それに、貴女がこの子をこんな風にしたんだから先に謝りなさいよ」
「私のせいじゃないわぁ?落下地点に変身した慧音が突っ込んで来たのよ…」
「満月の夜の竹林は危険なのよ?初めてこっちにきた人間が対処出来るわけないでしょうが」
「う…ごめんね、時雨ちゃん…」
「いえ…わざとでなければ別に…まぁ、殺されかけましたが…それよりなんで僕の名前知ってるんですか…」
「壁に耳あり障子に目あり♪」
「盗み聞きしていたのね?」
「いやぁ、時雨ちゃんが起きたっていうからさ…つい」
てへ♪と、可愛らしく誤魔化したがあまり似合わなかったのは秘密だ。
「そういえばさ、時雨ちゃんて能力持ちなの知ってた?」
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