やうやう散りて1

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  世良式部は病を患っていたのです。 公の場にも姿を見せないようになりました。 一方、雅伊様は急いで世良式部の寝所へと向かわれていました。 奏子様と交わいになったあと、内密に『今夜が…』と知らせを受けていたのです。 雅伊様にとって、世良式部は初恋の君なのです。 雅伊様のお家と世良家は交流があり、雅伊様が元服なされた際にお祝いを申し上げなさった世良家家長の横に座っていた幼少の世良式部に一目惚れなさったのです。 あれから十年ほど経ちましたが、雅伊様は美しい姫君を忘れることが出来なかったのです。 奏子様が嫁がれてきたとき、奏子様の後ろに控えている世良式部をご覧になり運命だとお感じになったのです。 雅伊様はせっせと世良式部に歌や文を送りましたが、世良式部は『貴方には奏子様がいらっしゃるでしょう。数多の女性がいらっしゃるでしょう』と。 世良式部は帝や大臣たちからの求婚にも応じず、飄々としていました。  
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