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ある夜、しびれを切らしになった雅伊様は世良式部の寝所に夜這いなされました。
嫌がる世良式部を押さえつけ、驚きました。
あの美しい世良式部は男、だったのです。
宮中、いえ奏子様もご存知なかった世良式部の秘密。
『さぁ、お退きになってください。騙したなと罵りなさるのもよいでしょう』
そんなことを言う世良式部は焦りを隠し、(余裕があるように見せるため)笑みを浮かべていました。
漏れる月の影(光)を受け、世良式部は妖しい艶が漂ってさえいました。
雅伊様は怒るどころか、結婚してほしいと求婚。
これには世良式部も驚いた様子で、呆然と雅伊様を見ていました。
『男でも構わぬ。私が初めて恋をしたのは式部…』
世良式部はフッと自嘲的に笑うと、雅伊様の唇に人差し指を当てました。
『私が女であったなら、奏子様付きの女房でなかったなら貴方と恋に落ちたでしょうね』
結局、世良式部の調子に乗ってしまった雅伊様は手出しは出来ずじまい。
それからというもの、(諦めたわけではありませんが)世良式部とは歌の友として親密になったのです。
そして、世良式部は病を患ったのです。
雅伊様は世良式部の部屋へ見舞いに行かれたり、歌を送られたり…。
世良式部は私のことは構わないでくださいと言いましたが、雅伊様は首を横に降るばかりでございました。
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