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朝の通勤途中で店はラッシュになる時間帯。
まだ警察の調べは続いている。
次々に入れ替わる人波の中、俺は外で佇んでいた。
店内を見れば、朝番のおばちゃんが慌ただしくレジを叩き、質問する警官には目も合わせずひたすら客を捌いている。
さっきナイフを突き付けられたばかりなのにあの頼もしさ。
さすが長年コンビニのパートタイマー、松村さんだ。
俺も長く働くが、
さすがに松村さんを犯したいと思った事は一度もない。
あの人には色んな意味で、一目置いている。
まあそんな事より今日は色々有りすぎた。そろそろ帰って寝るとしよう。
そう思った時、急に店内が慌ただしくなり始めた。
警官が、客を表に出し始めたのだ。
何やってんだ?
明らかに様子がおかしくないか?
そういえば松島さんの姿がない。
このラッシュ時に休憩する子ではないはずだ。
事情を確認する為、俺は店に足を踏み入れた。
『坂下さんですね。少し事情を聞かせて貰えますか。』
同時に一人の警官が俺に声を掛けて来た。
なんだろう、この違和感は。
決してこれは、1日に2度も名前を間違えられたからではない。
『しゃ、坂本です』
俺はどもりながらそう答えていた。
▽ゆうび▽
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