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ロッカーの鏡に映る自分。
「“やればできる子”か。」
昔、よくオヤジが煙草をふかしながら自慢顔で俺に言い聞かせていた。
その言葉を信じていたわけじゃないが、どこか心の支えにしていたのかもしれない。
遠い記憶の中で、
唯一存在するオヤジは…
いつも笑っていた。
「自慢の息子は目が死んでるってよ。今もあんたはどこかで笑っているのか?」
あのスーツの男への苛立ち。
幼年期に蒸発した父親。
窮屈な宇宙。
畜生!…と吐き捨て、
無骨にロッカーを閉めた冷たい鉄の余韻を残し、控え室を後にした。
王ヘイロー
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