8059人が本棚に入れています
本棚に追加
/469ページ
青い炎が揺らめく。
金属音――剣の合わさる音が、薄暗い闇の中に響き渡る。
白地の仮面に刳り貫かれた三日月が嗤う。
相手は仮面をかぶった男。
その剣を弾き、仮面の男の喉元に切っ先を突き付けた。
炎が揺らめく。
「約束は守ったわよ」
絶壁の上。
月明かりを受けて紫の髪が妖しく輝く。
女の腕には小さな子供がひとり。
子供の頭を鷲掴みにして、宙吊りにする。
すぐ下では黒い海が広がり、うねる波が手を伸ばして待ち構えている。
女は白い腕の力を抜いた。
支えを失った子供の身体は、重力に逆らうことなく落ちていく。
水音とともに、子供の身体は海中へと沈んでいく……。
「生きていたら、また会いましょう」
紫の髪の女は満足したように高く笑った。
「ねぇ、ジェラルド」
炎が消えた。
最初のコメントを投稿しよう!