商人たち

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露店の並ぶ広場に戻ってきた。 連れてこられたのは、一台の露店を兼ねた荷馬車。 高さは大人の背をもう少し高くしたくらい。 木目を生かした温かみのある外装のそれは、正方形に円錐の屋根をくっつけたような形をしていた。 壁の一面は折畳みの棚に加工され、様々な物が乗っている。 獣の革、鮮やかに染められた布、きらきら輝く宝石、色とりどりの香水の瓶まで。 「フォーダム、遅かったやないの」 大きな帽子をかぶった女が口を尖らせて椅子に座っている。 その顔は帽子に隠れてよく見えない。 フォーダムはごまかすように笑った。 「わりぃ。サンドラ、ランバートは?」 「さぁ……朝ごはん食べに行ったんとちゃう?」 サンドラと呼ばれた帽子女は、フォーダムの後ろにいるエレンに気付いた。 目が合った。 「あら! やっと見つかったんね!!」 ――やっと? エレンが疑問に思う中、フォーダムはサンドラにエレンを紹介しようとする。 「ああ。名前は……えーと」 「エレンです」 「エレンはんね! ウチはサンドラっちゅうねん。よろしゅうに」 「サンドラ、エレンに説明しといて」 フォーダムは短く言うと、荷馬車の中に入っていった。
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