商人たち

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「……とまぁ、そうゆうことなんや」 「ふーん」 簡単にまとめると話はこうだ。 東の大陸の王都、エルザンド。 世界的に武家として名高い王家で、剣技で右に出るものはいないと言われている。 王家に代々伝わる指輪にはまった、燃えるような赤い宝石がある。 どんなに上質のルビーやガーネットでも、その宝石には全く適わないとか。 その宝石を調べたいから、城を訪れる。 しかし、普通の商人が城に入り、ましてや大した用もなしに王に会えるわけがない。 そこで、王子から王に頼んでもらおうというのだ。 その王子というのが、こっそり城を抜け出しては城下で遊び回るような男らしい。 親しみやすいためか、庶民からも好かれているのだという。 こんな子供が書いたようなシナリオがうまくいくのかと、エレンは疑問に思わずにはいられなかった。 そこで、サンドラがニッと笑みを浮かべる。 「エレンはんなら大丈夫や」 「なんで?」 「王子様、可愛い子と美人には目が無いみたいやから」 「あはは……」
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