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五日が経った。
辺りが紺色に染まりはじめた頃、二頭の黒馬が歩みを止めた。
「おい! 着いたぜ」
馬を走らせていた男――ランバートは振り返ると馬車に向かって吠えた。
「あの人なんか性格変わった?」
「朝と夜で性格が正反対になるんっス。なぁに、いつものことっスよ」
エレンが質問すると、フォーダムは涼しい顔で答えた。
「明日の昼ごろ城に行くんで、そのつもりでいてくださいっス」
「はーい。了解」
エレンとセレは馬車から降りると、宿を探しに街の中心に向かった。
「エルザンドは治安が悪いから気を付けて……ってもう行っちまいましたか」
小さくなったふたりの姿を目に留め、フォーダムは頭を掻いた。
そこに、サンドラが顔を出す。
「なぁフォーダム。あの女の話、エレンはんにした?」
「ん……あぁ! 忘れてた!」
「……まぁ、明日でもええやろ」
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