8059人が本棚に入れています
本棚に追加
ジャネットは、ポツポツと過去を語りはじめた。
小さい頃から身寄りがなく、教会で保護されていたこと。
三年ほど前から始まった“半魔物狩り”により、半魔物の首には多額の賞金がかけられた。
今までかくまってくれていた教会もついに裏切り、身の危険を感じたため命からがら逃げ出してきた。
教会を飛び出してからは、ここの研究所に隠れていたという。
深刻な話に空気が重くなるが、セレの場違いな質問がそれを破った。
「半魔物って何?」
思わず、ずっこけそうになる。
「あれ、まだ話してなかったっけ……?」
「うん」
「半魔物っていうのはね……」
半魔物とは、聖戦時にヒトと魔の間に生まれた子供や、その子孫のこと。
外見はヒトと全く同じ。
生まれながらにして魔力を持ち、呪文の詠唱を必要としない。
半魔物の特性で、何らかの動物に姿を変えることができる。
「……こんなところかな?」
これはエレンの――世界の誰もが知っている一般常識だ。
「どうして狩られるの?」
なおもセレの質問は続く。
言葉に詰まるエレンに代わって、ジャネットが簡単に答えた。
「覚醒する半魔物が現れる前に絶滅させてしまえって……」
言葉が終わらないうちに、扉の開く音が耳に届いた。
最初のコメントを投稿しよう!