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「ちょっ……待ってよっ!」
ぴったりと付いてきたジャネットと共に、足早に廊下を進んだ。
相手に気付かれているため、一瞬たりとも気は抜けない。
しばらくして、ひとつの扉の前で足を止めた。
扉の隙間からは仄かに明かりが漏れている。
「や、やめようよー……」
キースの袖を引き、弱々しくジャネットが懇願する。
「やめようってばー」
「しっ」
微かに部屋の中からぼそぼそと話し声が聞こえる。
よく聞こえるように、扉に耳を付けた。
「……と……でした」
「ほお、なるほど。すばらしい……」
男の声がする。
おそらく先ほどの男だろう。
「それと、侵入者が……」
「半魔物は捕えろ。あとは確実に殺せ」
氷のような冷たい声がし、そこで話し声は止まった。
不気味なほどの静寂が暗闇を支配する。
入ろうか入るまいか躊躇していたそのとき、部屋の中から静かな声が聞こえてきた。
「盗み聞きなんてせずに、入ってきたらどうですか?」
――バレた!?
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